戦争映画なのに何度でも観たくなる
舞台はヒトラー率いるナチス軍が支配していたドイツ。戦争やユダヤ迫害をテーマとした映画で、こういった映画は辛くて目を背けたくなる内容が多いが、この映画では、主人公ジョジョの空想上に現れるヒトラーとのやりとりや親友との会話がコメディタッチで描かれています。最初は子供ながらもナチスを支持する少年が、ある1人のユダヤ人少女との出会いにより、忘れていた子供らしさや愛、正義を再確認していく物語です。この映画の見どころは、監督でありヒトラー役を演じるタイカ・ワイティティの遊び心がすごく詰まっており、画面の配色、衣装、音楽までどれも愛おしく可愛く表現されているところです。冒頭から流れるビートルズの「抱きしめたい」がドイツ語で歌われており、これがまたワクワクした気分にさせます。キャストの演技も最高で、特にスカーレット・ヨハンソン演じるジョジョの母親の「戦争や人間性に対する道徳的な考え方」や、サム・ロックウェル演じるキャプテンKの生き様がとても素晴らしく、涙なしでは観られません。話の伏線や起承転結が気持ちの良い位しっかりしていて、こんなに優しくて笑って泣ける戦争映画は他にないと思います。人種差別や戦争などが問題となっている今だからこそ、是非観てほしい作品です。