当て屋の椿

当て屋の椿

『当て屋の椿』は2008年から連載される川下寛次の推理漫画。2008年から2020年にかけて『ヤングアニマル』で連載され、その後WEBコミックサイト『マンガPark』に移籍した。
舞台は江戸時代。浮世絵師である鳳仙(ほうせん)と椿(つばき)の周りで起こる怪奇事件が描かれる。超常的な理由も多く、推理が一筋縄ではいかない点が特徴となっている。
2014年にはドラマCDが発売された。

stkimtymaのレビュー・評価・感想

当て屋の椿
8

当て屋の椿

大江戸吉原を舞台にしたミステリー。
絵柄は美麗でむちむち肉感的な女体はエロスでたまらないが、エログロ描写がどギツいので容赦なくふるいにかけられる。エロに関しては幼女の凌辱シーンもあるので苦手なら勧めない。
人捜しから物捜しまでなんでも探し物を引き受ける当て屋の椿が、春画師の鳳仙と組んで複雑怪奇な事件を解決していくのだが、トリックよりはむしろどうして惨劇に手を染めてしまったかの動機や愛憎縺れた心情面に比重が割かれている。
エピソード毎のゲストキャラも魅力的で読んでいると自然に情が移ってしまうのだが、死亡率が高いので割とトラウマになる。そういうものだと割り切って読めばダメージが少ないが……椿たちが住む長屋の面々も人間臭くていい味出している。
好きなキャラクターはロリ可愛い孔雀。美女から美幼女まで、女性陣の魅力を最大限引き出している。鳳仙はいわゆるヘタレで押しに弱い性格なのだが、彼の優しさが生き地獄に苦しむ人々を救うこともままあって、理屈屋の椿と好対照。
体内に取り込んだ植物や蜂が短期間で急成長したり、人体構造的にさすがにないだろうという描写も結構あるが、数奇な運命に翻弄された人々の悲喜劇が主体で整合性はおまけだと思えば面白い。