ああ播磨灘

ああ播磨灘

『読むと強くなる横綱漫画 ああ播磨灘』(よむとつよくなるよこづなまんが ああはりまなだ)とは、さだやす圭による日本の相撲漫画である。『モーニング』(講談社)において1991年から1996年まで連載された。単行本は全28巻、文庫版は全14巻が刊行されている。1992年4月23日から同年10月1日まで、『見ると強くなる 痛快!横綱アニメ ああ播磨灘』のタイトルでテレビ東京系にて全23話が放送された。
本作は敗北や挫折を経て成長するという常套パターンを採らず、登場時点で既に横綱であり、一度も負けられない宿命を背負った主人公に次々と強敵が襲いかかるという構成を採用している。超人的になっていく主人公とは対照的に、ライバル力士たちの人間ドラマを描き込むことで読者に敵役側への感情移入の余地を作っている点が特徴である。また、仮面の土俵入りをはじめとして角界の伝統や作法を踏みにじる主人公の行動と、実力で土をつけるまでは追放できない相撲協会側との葛藤も大きなテーマとなっている。主人公のルール破りの真意は必ずしも明かされず、時には相撲界のルールを擁護する側に立つなど言動が最後まで予測不可能であったことが作品の緊張感を維持していた。なお、別の相撲漫画『雷電王』に登場する豪放な横綱「播磨鷹」が主人公に敗れたことを受け、本作の側でも播磨灘がプロレスのチャンピオンを瞬殺するエピソードが描かれた。
物語は、9月場所初日に新横綱の播磨灘勲(はりまなだ いさお)が仮面をかぶって土俵入りに登場し、双葉山の69連勝を破ること、今後一度でも負けたらその場で引退することを宣言する場面から始まる。これにより相撲協会の怒りを買い、全幕内力士を敵に回した状態から播磨灘の快進撃が展開される。
連載当時は若貴兄弟や曙らによる相撲ブームの最中であり、作者のさだやす圭も大相撲関係のコメントを求められる機会が増えたが、ユーモアのつもりの発言が挑発的に紹介されるなどの困惑もあったという。特に当時大関だった小錦の横綱問題に関する発言が逆のニュアンスで伝わってしまったことには心を痛め、後に総集編の巻末で謝罪している。なお、「播磨灘」の四股名は連載当時には架空のものであったが、後に実在の力士が改名して2021年まで名乗り続けた。

pizza_pizzaのレビュー・評価・感想

ああ播磨灘
7

一番突飛な相撲漫画

主人公の播磨灘は新横綱。普通なら、どのようにして横綱になるか、という話にするだろうが、この漫画はその時点で普通ではない。しかし、更に普通ではないのはここから。横綱初の土俵入りの際に仮面(肩から上を覆う鎧のような形式)をつけて土俵入りしてしまうのである(ちなみに、その仮面にはちょっとした仕掛けもあり)。そして、今後負けたらその時点で引退を宣言。ここから相撲協会との長い戦いが始まるのだ。横綱なので強いのは当たり前なのだが、とにかく強い。そして、手段を選ばない。宣言した場所での千秋楽では、相手の手を土俵に無理やりつかせて勝つ、という決まり手にないやり方も。そして、その直後には投げ飛ばします(その様子を見た観客は、たくさん物を投げつけていた)。ちなみに、こんな播磨灘も結婚をしますが、その嫁も変わり者。なぜなら、播磨派だと同じく、仮面(能面)をつけてポロポーズをするのだ。そして、つけたまま記者会見。アナウンサーが「この仮面にはなおさら興味がそそられます」と言っていたが、確かにそうだろう(ちなみに、このあと素顔を晒すことになる)。そんなわけで明らかに普通ではない相撲漫画なわけだが、作者は相撲をバカにしているわけではなく、寧ろリスペクトしてこの作品を書いたようだ。日本一突飛な相撲漫画として、多くの人に知ってもらいたい。