四季とリトル・フォレスト
この作品は映像がとても美しく、日本の四季を感じることができます。主人公は都会から田舎に引っ越してきた女の子で、たった1人で自給自足の生活を送っていました。作中、とても印象深かったのが、育てた作物を使って料理をするシーンです。彼女が昔、母親から教えてもらったレシピを記憶を頼りに作るシーンでは、母親への思いや葛藤が伝わってきました。1人で生きていくための知恵は母親からだけではなく、周辺に住む村人から譲り受けたものもあり、登場人物をとして彼女自身が成長していく過程を見ることができます。私はこれほどまではっきりと、日本の四季を感じられる映画を知りません。美しい自然の風景を、主人公の営みとともに味わうことができます。音楽もとても素晴らしく、主題歌はバンドの『FLOWER FLOWER』が担当しており、各季節にとてもぴったりでした。厳しい冬の時期、主人公はずっと抱えていた悩みを、友人から突き付けられます。しかし、春になり、ようやくそれと向き合う決心をするのです。便利な生活を手放して、あえて不便な生活を選んだ彼女の生き生きとした姿は、とても羨ましく感じました。生きることの意味や本質を改めて考えさせられる作品です。