広島カープ誕生物語

広島カープ誕生物語

『広島カープ誕生物語』(ひろしまカープたんじょうものがたり)とは、中沢啓治による日本の野球漫画である。本作は描き下ろし単行本として1994年に汐文社より全2巻で発行された後、2014年に垣内出版から全1巻として再版され、2015年には各社から電子書籍版も発売された。また、1994年には『かっ飛ばせ!ドリーマーズ~カープ誕生物語~』のタイトルでアニメ映画化もされている。
物語は広島カープ創設期のエピソードを中心に1975年の初優勝までおおむね史実に沿って展開されるが、「縄ホームラン」や「ポール引っこ抜き」、「樽募金」といった有名な逸話が主人公である進の主導によって引き起こされたことになっているなど、史実を基にしたフィクションとして描かれている。
あらすじは、原爆孤児である大地進(だいちすすむ)が、親友の弘、順二、守らとともに、食料と農家の土倉からの流出品である浮世絵を賭けて呉の進駐軍の野球チームと試合をするところから始まる。そんな折、1949年にプロ野球チーム「広島カープ」が結成されることを知った進たちは歓喜に沸くが、実際のカープはユニフォームを揃える資金すらなく発足式でも選手2人が背広姿のままであり、設備や日々の食事にも事欠くほどの貧乏球団であった。進たちはそれでもカープを深く愛し、球団を何とか盛り立てていこうと募金や応援などの様々な後援活動を行っていく。進の婚約者である光子は、自身の父親や進が野球にのめり込むあまり仕事をないがしろにすることに頭を痛めていたが、次第に態度を和らげていき、カープが優勝したら結婚式を挙げようと約束を交わす。時は流れ1975年、進と光子は42歳になっても式を挙げられずにいたが、球団は大きな転機を迎えることとなる。

azisaiのレビュー・評価・感想

広島カープ誕生物語
7

はだしのゲンが逃げ出す問題作

作者である中沢啓治先生の名作といえば『はだしのゲン』。
ではその次に有名な中沢作品は?と聞かれたら、知らない人も多いと思います。
私は、『広島カープ物語』を推したい、と思います。
なぜならば、この作品は事実を元にしているにも関わらず、話があまりにも荒唐無稽だからです。

例えば、敵チームがレフトポールに直撃するホームランを打ったことがきっかけで、そのポールを主人公が引き抜く、というシーンがあります(もちろんこれも史実)。
しかし、そのときの暴力的なシーンは非常に楽しそうに描かれています。
中沢先生も楽しく、暴力シーンを描いていたのです。
はだしのゲンは、その政治的な内容から発禁処分にしろ、という過激な意見もありますが、本当に発禁処分が許されるならば、こちらのほうが圧倒的にふさわしい、と言わざるをえません。
それだけの問題作です。
だからこそ、ネットでも話題になるわけです。

中沢先生は2012年に亡くなったので、広島カープのリーグ3連覇を知ることはありませんでした。
しかし、平成にこうして優勝しても、この作品通りの世界が繰り広げられ、広島の街は75年といい意味で変わっていないことを実感します。
この作品は実録作品であり、歴史物語であり、ある意味、ギャグ漫画でもある。
そういう稀有な怪作であり、問題作なのです。