二人の人間の人生の最終章
自分が死ぬということに明確な期限を見出してしまったという共通点以外、全く種類の違う道を歩んできた二人の人間が、人生という一つの物語の最終章をより良いものにすべく旅に出る話。
生を受けてから今まで誰しもが抱えている後悔というものに、怯えて苦しみながら向き合っていく登場人物からは共感と教訓を得られる。主人公の一人が相棒から学んだことは人生において大切なものになったが、それは主人公がたまたま相棒と仲良くなったから得られたものではなく、目を逸らしていただけでずっと自分の中にくすぶり続けていたものだ。
このことは映画を見た私の痛いところを突いた。自分が「仕方のないこと」「どうせ変わりっこない」と諦めて、しかしいつも頭の片隅にあるモヤモヤの正体を暴かれたようだった。
作品の中で、主人公は相棒から様々な宗教の考え方を聞かされる。宗教等といったことに抵抗がある人もいるだろうが、この作品を単なる宗教映画とみなしてしまうのは、私はとても勿体なく思う。
説教臭く感じてしまう人もいるかもしれない。後悔しているということは、過去の自分が成しえなかったことだからだ。向き合うことは、痛いし辛い、そして勇気がいる。自分が後悔していることに向き合いたいと感じている人には、見てほしい作品だ。