私の姉

私の姉

『私の姉』(わたしのあね)とは、四季ムツコによる日本の漫画作品である。本作は、2019年後期に開催された「第76回ちばてつや賞一般部門」において奨励賞を受賞し、講談社のウェブコミック配信サイト「コミックDAYS」にて公開された。
本作は、トランスジェンダー(FTM)の当事者とその家族の心情を、妹の視点から描いたヒューマンドラマである。社交的で母親の愛を一身に受けてきた「自慢の姉」が、性別適合手術を経て「兄」になる過程を軸に、内向的で劣等感を抱えてきた妹の複雑な心理や葛藤、そして毒親的側面を持つ母親との関係性が綴られる。
作品の特徴として、丁寧な取材に基づいたリアリティのある描写が挙げられる。特に性転換に関するプロセスや当事者の行動様式などは、経験者からも高く評価されている。また、四季ムツコの柔らかく繊細な筆致は、家族間のずるい感情や暗い部分をネガティブに描きすぎず、温かい読後感をもたらす。女から男への性転換を扱った作品は比較的珍しく、単なる社会派作品に留まらない、姉妹(兄弟)の距離の変化を優しく掬い上げた良作として注目を集めた。

husakubuのレビュー・評価・感想

私の姉
10

これで無料!?LGBTと毒親ものミックス。LGBT当事者の家族の心情を優しく描いた良作。

コミックデイズから無料で読めるマンガで、無料ならと読んでみました。
(私の姉 四季ムツコ https://comic-days.com/episode/10834108156713779021)
姉が兄になる……というストーリーを、妹の視点から書いた良作。
序盤の母親の強いセリフ、その後の展開はどうなる!?と思いつつ読み進めましたが、丁寧な柔らかい筆致で、繊細に姉の行動、妹の複雑な心情、優しさ、そして暗い部分をネガティブになりすぎずにうまく描き切っています。
社交的でよくできた姉と、内向的で劣等感を持つ妹、母に愛されたのは姉。そんな二人が、性転換をきっかけに心の距離がどんどん近づいていく、そこには妹のずるい感情もあって、もしかしたら読後感が悪くなるかもしれません。しかし、作者の力量のおかげで温かいものが残る読後感となりました。
実際のLGBT系の友人にも見せましたが、「これ、途中の性転換するところの描写、実際そのものでびっくりした、作者さんよく研究してる」と言っており、取材の丁寧さもすばらしいと思います。マンガにおいて、男→女の性転換物は多いですが、女→男はあまり無くめずらしいので、読んでみる価値はあるかもしれません。
絵柄は現代的ですが、派手すぎず、地味すぎず、ふわっとした素敵な印象でした。
何も解決していないけど、何かが少し変わったような、そしてこれからなんとか人生を進んでいけそうな、そんな予感に満ちた良い作品でした。