原作のもう一つのルートを描いたようなアニメ
この作品は集英社の月刊漫画雑誌であるジャンプSQの同名漫画が原作のアニメです。初期からアニメオリジナルシーンや変更が入っていて、原作に繋げるのが難しい結末にしているため好みは分かれるかもしれません。基本的なストーリーを説明すると、ケガレという化け物を払う存在である陰陽師として最強を目指していたが、大事な仲間達が死んだ「雛月の悲劇」と呼ばれる事件をきっかけに陰陽師の道から離れていた少年、焔魔堂ろくろと、陰陽師の名家である化野家の娘で幼少期に目の前でケガレに両親を殺されてしまったトラウマを持つ陰陽師の少女、化野紅緒という同い年の二人が出会います。その二人に対して陰陽師のトップにあたる土御門有馬が「君達は神託で選ばれた双星の陰陽師で、結婚して夫婦になりケガレと陰陽師の戦いを終わらせるという神子を生み出す存在だ」と告げます。ろくろと紅緒は最初のうちこそ仲良くできずによく喧嘩していたのですが、お互いの過去や事情を知り、様々な戦いや出会いを通して絆を深め惹かれ合うようになります。これだけなら原作と一致しますが、ケガレの最上位で人間そっくりの姿をしている婆娑羅(バサラ)という種族の面々が、紅緒の両親の仇にあたる神威を除いて原作者である助野嘉昭先生が書き下ろしたアニメオリジナルキャラクターだったり、同じくアニメオリジナルキャラクターで「あるさえ」という少女がろくろと紅緒の二人と旅に出たり、原作にて陰陽師の本拠地であり最終決戦の地として描かれている土御門島という地図に載らない島がカットされて京都がその代わりになっていたり、ろくろと紅緒の立場逆転が起きていたりなど、様々なアニメと原作の相違点が見受けられます。個人的に原作では訳あって長期間離ればなれになってしまったろくろと紅緒がアニメではほとんどの回で一緒にいて、めでたく結ばれたのは救いがあったなと思いますし、オープニングやエンディングのセンスや、必殺技の名前の文字を画面に大きく出すカットイン、双星の陰陽師が使える「共振(レゾナンス)」という力をろくろと紅緒が使用する際のピンクのエフェクトなどの演出はかっこよく見えました。原作から入った人で少しでも興味がある人は原作のアナザーストーリーとして、「もう1つの双星の陰陽師」として見るのもありだと思います。もちろんアニメから入りその後原作を読むのもありです。