ハナレイ・ベイ

ハナレイ・ベイ

『ハナレイ・ベイ』とは、村上春樹の短編小説、およびそれを原作とした映画作品。『東京奇譚集』と題した連作短編小説の1篇として、2005年に『新潮』に掲載されたのち、同年刊行の短編小説集『東京奇譚集』に収録された。また、2009年に刊行された著者自選短編小説集『めくらやなぎと眠る女』にも収録されている。2018年には吉田羊を主演に迎えた実写映画が公開された。ハワイのカウアイ島のハナレイ湾を舞台に、一人息子を失ったシングルマザーが人生への希望を取り戻していく過程を描く。
主人公・サチの息子は、ハワイのカウアイ島でサーフィン中に鮫に襲われ、19歳で命を落とした。領事館から連絡を受け、現地で息子を火葬して以来、サチは命日が近づくとこの地を訪れている。ある日、リフエ空港の帰りに拾った日本人の若者たちから「片足のサーファーを見かけた」と聞いたサチは激しく動揺する。しかしその後、日本に帰って六本木でその若者のうちのひとりと再会したサチは、彼と思わぬ縁を持つようになるのであった。

teto10のレビュー・評価・感想

ハナレイ・ベイ
8

じわじわとくる温かさ!

村上春樹さんの短編小説を映画化した作品で、吉田羊さん演じるシングルマザーのサチが主人公です。ハワイのカウアイ島にあるハナレイベイという場所が舞台になっています。佐野怜於さん演じる一人息子のタカシが、ハナレイベイでサーフィン中にサメに襲われ、命を落とすところから物語が始まります。初めは、暗い雰囲気やギクシャクした家族関係、サチの自分を押し殺して生きているような姿に観ているこちらも苦しい思いになりました。シングルマザーになった成り行きも、悲しく辛いものです。しかし、サチは毎年訪れるカウアイ島で出会った人や暮らしの中で、鍵をかけて閉ざしていた人間らしさや感情を少しずつ開放していくことができるようになります。物語が進むにつれ、その姿に触れる度、じんわりと温かさが染み込んできます。カウアイ島の素晴らしい自然も、物語の素敵なエッセンスになっていたと思います。作品を観終わったときに、置かれている環境は全く違えど、自分の家族への向き合い方をふと振り返って「声を聞きたいな」と思わせてくれる作品でした。また、作品とはあまり関係ないですが、吉田羊さんの話す英語がわざとらしくなく、綺麗で聞き惚れてしまいました。