キズだらけの表現者
90年代の女性シンガーソングライターの中でも、一際異才を放つCocco。
彼女のデビューシングルである「カウントダウン」を聴いた時の感想は大きく二手に分かれると思います。傷ついた経験などがあり、カタルシスを感じる人、そういったこともなく「恐ろしい。二度と近づかない」と思うひ人、両極端だと思います。
彼女の楽曲の傾向として、「カウントダウン」のように、全面的に狂気を表現しているものと、「強く儚い者たち」のように穏やかなメロディ上に残酷なメッセージをのせているものとがあります。そして、時々、純粋にロマンティックなものもあります。
二番目に挙げた「穏やかなメロディーに残酷なメッセージを載せた楽曲」が初期には比較的多いので、聞いているほうとしては油断ができません。私は、そんなところにも惹かれました。サビ部分で爽やかに残酷な言葉を投げかけてくるので、心を引き付けられ、耳から離れません。彼女の心からの悲鳴なのだと思います。彼女は表現していかないと生きていくのが難しいタイプのアーティストなのでは?とも思っています。
そんな彼女も、最近では、健康的な表現者として活躍しています。それもまた彼女のファンとしては、喜ばしく思っています。ちなみに、初期の楽曲の中でもお勧めなのは「rainning」です。