考えさせられる作品
ジブリ作品の中でも一番好きな作品です。子供の頃から何度も見ていますが、見る度に視点が変わります。
森を守ろうとする獣たちと、生活を豊かにするために森を切り崩そうとする人間との争いが主軸になっています。この物語の面白いところは、一概にどちらが悪いとは言えないところです。特に、森の獣たちから目の敵にされているエボシという登場人物が魅力的です。私は子供時代、このエボシという人物が嫌いでした。しかし、今では大好きな登場人物の一人です。彼女は森を奪うためなら冷酷なことを平然と行います。しかし、実際には弱い者にとても優しい情の深い人物です。不治の病と恐れられ、誰も近づかない人たちの手当てをし、町で売られている女性を見かければ全員引き取ってしまうほどです。そのエボシと敵対しているのがモロという山犬です。モロは森を切り崩そうとしているエボシを含めた人間を憎んでいますが、生け贄として差し出された人間の赤子を哀れに思い、自分の娘として大切に育てます。モロもエボシ同様、冷酷さと情の深さを併せ持つ、憎めないキャラタクターです。モロに育てられた娘がもののけ姫として人間の前に立ちはだかるのですが、ある一人の少年と出会うことで物語が大きく動いていきます。アシタカという少年は非常にニュートラルな人物で、森と人間が共存する方法はないのか、ずっと模索し両者に問いかけ続けます。森と人間双方のために尽力する行動力、精神力は一貫性があり、目を見張るものがあります。シリアスな作品で冒頭シーンで敬遠してしまう人も多いかもしれませんが、ヤックルという非常に可愛いキャラクターもいますので、ぜひ最後まで多くの人に見ていただきたい作品です。