パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本

『パコと魔法の絵本』とは、2008年に公開された中島哲也監督による映画である。後藤ひろひと原作の舞台『MIDSUMMER CAROL ガマ王子 vs ザリガニ魔人』を実写とフルCGを融合させた独自のスタイルで映像化した作品で、長編日本映画として初の試みが随所に盛り込まれている。
物語の舞台は、風変わりな患者やスタッフが集まる一風変わった病院。かつて傲慢な実業家として君臨し、院内でも「クソジジイ」と疎まれる孤独な老人・大貫は、ある日パコという純真な少女と出会う。大貫は些細な誤解から彼女を傷つけてしまうが、翌日パコが自分のことを全く覚えていないことに衝撃を受ける。彼女は事故の後遺症により、一晩眠るとその日の記憶をすべて失ってしまう記憶障害を抱えていた。しかし、パコが大貫に頬を触れられた感触だけは微かに覚えていたことに心を動かされた大貫は、彼女の記憶に「何か」を残すため、自分のプライドを捨てて周囲に協力を仰ぐ。パコが愛読する絵本『ガマ王子対ザリガニ魔人』を病院の仲間たちと演劇として上演しようと奮闘する姿は、偏屈な老人の心に再生の光を灯していく。
完成披露時には制作費400万円をかけた巨大な飛び出す絵本が登場し、ギネス記録への申請でも話題を呼んだ。「子どもが大人に、読んであげたい物語。」というキャッチコピー通り、色彩豊かな映像美と切ない感動が交錯するファンタジー巨編である。

pandoraのレビュー・評価・感想

パコと魔法の絵本
9

感涙必須 クソジジイが少女にかけた魔法の記憶

最後に温かい涙を流したのはいつですか?
2008年公開、中島哲也監督の「パコと魔法の絵本」は大人にこそ観てほしいファンタジー映画です。
舞台は人里離れた古い病院。複数の入院患者はもちろん、医者や看護師に至るまでいずれも突出した個性と事情を抱えた人達ばかり。中でも大企業の社長である大貫(役所広司)は、始終他の患者に当たり散らし、自分以外の人間を徹底的に見下す完膚なきまでの「クソジジイ」。
そんな彼が入院患者の1人パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会います。幼い少女であるパコにすら慇懃無礼な態度を貫く大貫。
ところがパコはそんな大貫もなんのその。
屈託のない笑顔を浮かべると、大事に抱えていた絵本「ガマ王子とザリガニ魔神」を音読し始めます。
パコと出会った翌日、ある事件をきっかけに大貫は、全くの健康体に見えるパコがこの病院に入院している理由を医師から聞かされます。衝撃を受けた大貫は、生まれて初めて泣き声を上げてこれまでの行いを悔いるのです。
クソジジイの大貫が、パコの為に、生まれて初めて誰かの為に何かしたいと考えた結果とった行動。次第にその輪は大貫を疎ましく思っていた他の患者達にも拡がって行きます。
大貫がパコの為に企画した病院中を巻き込んだ渾身のイベントが幕を降ろす時、同時にある1つの命も幕を降ろそうとしていました。

本作は舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子 vs ザリガニ魔人」(後藤ひろひと脚本)を映画化した作品。中島哲也監督ならではのカラフルで美しい映像美も魅力の1つです。
登場人物の衣装やメイクもとても特徴的で
まるでテーマパークのような世界観が楽しめます。
現実離れしたファンタジー作品かと思いきや、物語の結末にはある種の残酷さ、無情すら感じてしまいます。。何度も観返した作品ですが、毎回結末は涙なしには見られません。
ハッピーエンドかどうかは個々によるところが大きいかと思いますので、評価は9/10とさせて頂きました。

カラフルでポップな映像や世界観がお好きな方、「最近少し心が荒んでしまっているかも」とお思いの方、温かい涙なんて最後にいつ流したっけ?と思われた方。

「パコと魔法の絵本」、是非ご覧頂きたい作品です。