可愛らしいキャラクターと作りこまれた世界観が魅力
可愛らしい絵柄に惹かれて読み始めましたが、良い意味で裏切られました。
冒険し尽された世界で、唯一の前人未到の大きな縦穴アビスに挑む「探窟家」の物語です。謎に包まれた環境での冒険、危険で不思議な生き物たち、旅の仲間と友情、背景までよく描きこまれた画面に引き付けられます。アビスの呪いという、人体に悪影響を及ぼす上昇負荷があるので、深く潜れば潜るほどに帰ることができなくなり、最悪は死に至るという重く苦しい設定。
外見は子どもっぽいキャラクターですが、主人公のリコが背負っている事情は重く、唯一の肉親の母と2歳の時に生き別れ孤児院で暮らしています。母は探窟家の最高峰白笛と呼ばれる地位の人で、アビスの最深部に挑んだものの消息不明です。リコも母に憧れ、探窟家になってアビスの最深部に挑むことが目標です。
リコは12歳の時に、アビスの不思議な技術で作られたロボットのレグという男の子と出会い、二人で巨大で危険な縦穴に挑んでいきます。
小さな機械から植物に至るまでよく描きこまれていて、本当にこんな世界があるような錯覚を起こしてしまいそうな綺麗な作画に、ワクワクします。
話が進むにつれて明らかになっていく謎。そして読者をも裏切るアビスの過酷な環境。
絵柄は本当に可愛いのに、表現はかなりリアルなものとなっています。とにかく痛い。心も痛いし実際に負っていくケガや呪いもかなり痛々しいです。
好き嫌いははっきりと分かれると思いますが、魅力が詰め込まれた作品です。