プラスティック・メモリーズ

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心を持ったアンドロイド「ギフティア」を回収するお仕事とは

このアニメで描かれるギフティア回収業務は辛く切なく、しかし心温まる物語が生まれます。

ギフティアたちは、見た目も行動も生きた人間と変わりないもので、購入者の家族として共にくらし、家事や話し相手として稼働しています。
見た目が成長することはありませんが、ギフティアには寿命があるために回収が必要となります。

しかし、ギフティアを家族として共に暮らしている人からすると「寿命ですので回収します」と言われても、予め知っていたはずのそれを受け入れられるとは限らずに回収を拒む人が少なくありません。
中には子供型ギフティアと暮らしていたおばあさんや、母親型ギフティアと暮らしていた少年もいますから、その心中を想像できてしまうがゆえに切ない物語です。

主人公のツカサは、会社で雑務をしていたギフティア「アイラ」を相棒として、回収を拒む利用者の説得に追われます。

「なぜ、悲しみ拒む利用者からギフティアを回収しなければいけないのか」の理由についても、ストーリーの中で遭遇します。
寿命を超えたギフティアは完全に動かなくなるより前に暴走し、暴れ回るようになってしまいます。それは周囲のものが壊れる危険にとどまらず、ギフティアを、そしてギフティアが大切に思っていた人の命すら奪いかねない危険なことなのです。
そのために回収が必要なのですが、作中ではギフティアを悪用・転売に使用する闇回収屋の介入により、間に合わず暴走が起こりました。

現在の科学技術ではギフティアの稼働延命はできず、お別れするしかありません。
それは人の死と同様に、避けられない別れです。

ツカサは相棒のアイラと想いを交わすようになりますが、ツカサが入社した時にはすでに寿命が迫っていたアイラも例外なく、回収日を迎えます。

最後の一日、いつも通り働こうとすると職場を追い出され、二人で遊園地で過ごします。追い出したのも、最後の一日を大切な人と大切な時間を過ごしてほしいという仲間の想いでした。

ツカサとアイラは、いつかまた巡り会えますように、と最後の時を過ごし、観覧車の中、ツカサの手で機能停止措置を行い眠りにつきました。

後日、ツカサはまた新たなギフティアを相棒とする日を迎えます。
新たな相棒はアイラを思わせる少女型となるようですが、それがアイラの生まれ変わりであるのか、全く別のギフティアなのかは視聴者の解釈に任せられます。

人の姿と心を持ち人と共に過ごしながらも、元気に見える姿のまま最後の時を迎えなければならないギフティアと人との絆を描く、感動SF作品です。