ヘルタースケルターを観た感想
個人的には、主人公のリリコに沢尻エリカはハマリ役だと思う。原作のリリコのイメージと違うという人もいるかもしれないが、沢尻エリカの持つ「気難しい」と「攻撃的」なイメージが、リリコのキャラクターに合っていると思う。
整形シーンは見ているだけでも怖いほど痛そうで、こんな辛い思いをたくさんして全身を整形して手に入れた美貌だから、リリコが自分の今の容姿に執着心を抱いたり、またそれを失うことに恐怖心を抱いたりするのも無理はないと思った。絶好調だったそれまでの日々が、生まれながらにして美しいライバルの登場によって崩壊していく。生まれながらに美しいライバルは、苦労して手に入れた美貌ではないから、元々持っているものだから、自分の容姿に執着したり、顔を傷つけられることにすら恐怖を覚えない。この二人の見事なまでの対比が痛々しい。きれいなモデルを見て「カリスマ」だと騒ぎ立てる大衆の黄色い歓声は耳につく。もし自分が美しくなくなったら、てのひらを返したように、みんな自分から離れていく。リリコが傍若無人に振る舞う裏には、そんな不安や絶望が隠されている。生まれながらに美しいライバルは、無責任な称賛をおくる大衆に期待せず、割り切っているような発言をしている。華やかな世界の裏側にある苦痛を見せつけられるような作品。