いちげき

いちげき

『いちげき』とは、永井義男の小説『幕末一撃必殺隊』を原作とする、松本次郎による日本の漫画作品。リイド社の『コミック乱』にて2016年6月号から連載を開始し、後に『コミック乱ツインズ』へ移籍して2020年12月号まで連載された。幕末の江戸を舞台に、薩摩藩による破壊工作「御用盗」を阻止するために農民たちで結成された特殊戦闘部隊「一撃必殺隊」の過酷な運命を描いた時代劇である。2023年にはNHK正月時代劇として、染谷将太主演でテレビドラマ化もされている。
物語は、武士の身分を盾に横暴を働く「御用盗」に対抗するため、勝海舟の命を受けた新選組・島田魁らが、高い身体能力を持つ農民をスカウトするところから始まる。高額な報酬に惹かれて集まった農民たちが、一撃で相手を仕留めるための過酷な訓練を経て、歴史の裏舞台で泥臭く戦う姿をリアリスティックな描写で描き出している。
大政奉還後の江戸では、薩摩藩の画策により、浪士集団「御用盗」による略奪や放火が頻発していた。穏健派の勝海舟は、幕府軍が直接動くことで薩摩に開戦の口実を与えないよう、身元不明の農民を集めた特殊部隊「一撃必殺隊」を設立する。
わずか一ヶ月の訓練で実戦に投入された農民たちは、初めは報酬のために剣を振るっていたが、次第に凄惨な殺し合いの渦へと飲み込まれていく。仲間を失い、故郷の家族が犠牲になる過酷な状況の中で、彼らは自らの存在意義と「武士」という身分の虚飾に向き合うこととなる。

kh19940824のレビュー・評価・感想

いちげき
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松本次郎著、漫画「いちげき」レビュー

「いちげき」って?
「いちげき」とは、永井義男の時代小説「幕末一撃必殺隊」を原作とした漫画である。

どんな漫画なの?
幕末期の江戸では薩摩藩が画策した「御用盗」という強盗や放火、辻斬りなどのテロ行為が行われていた。
薩摩の仕業とアタリはつけつつも、確証がないため正規部隊を動かして鎮圧できない幕府は、御用盗鎮圧のために「身元不明の特殊部隊」を設立させ、対応させようとする。
この「身元不明の特殊部隊」の隊員として力自慢の農民たちが選ばれる。
それが主人公たちである。
主人公たちは幕府の侍、島田と和田の下で訓練を積み、「御用盗」を襲撃。
戦果を挙げていくが、幕府側もまたきな臭い動きを見せていて…。

…というのがおおまかなストーリーだが、別の見方をすることもできる。
当時は身分が絶対の時代であり、農民とは侍より下の存在である。
そんな農民である主人公たちが薩摩の侍を斬るために、侍という身分を与えられ、訓練し、薩摩の侍をやっつけるという、この流れ。
どこかで見たことがないだろうか。
「落ちこぼれ達が、熱血コーチに導かれ、ジャイアントキリングを達成する」
そう。青春スポ根漫画の路線である。

やっていることは、手足が飛ぶし、血も出るし、人を斬るし、人が死ぬし、たまにしっかりエロもはさむし、といった有様だが、中身は不思議と血みどろなのに爽やかというか、帯にもある通りギラギラした青春を感じるのである。
「身分は農民という最下層の主人公たちが、人斬りのエリート侍・島田に導かれ、絶対的存在だった侍を斬る」
複雑な歴史背景とこのストーリーラインで、ただのジャイアントキリングで終わらないドラマも生まれる。
興味を持たれた方は是非とも読んでみてほしい。