見える子ちゃん

見える子ちゃん

『見える子ちゃん』とは泉朝樹による幽霊などを取り扱った新感覚ホラーコメディ漫画。2018年に作者Twitterにて初公開。人気を博し、同年に角川の電子書籍サイト「ComicWalker」にて商業連載を開始した。2021年にはアニメ化した。物語は、ある日普通の人間には見えないものが見えるようになってしまった女子高生である四谷みこが怪異(幽霊)に怯えながらも見えないふりをしていくというもの。2019年に行われた「次にくるマンガ大賞 2019」Webマンガ部門では10位にランクインした。

asakeno73のレビュー・評価・感想

見える子ちゃん
8

きれいな絵柄と、おぞましい霊のコントラスト

普通に暮らす普通の女子高生。ただ特殊なのは霊が見えるという一点のみなのですが、その一点がとてつもなく不憫です。
きれいな女性を描く絵柄に対し、登場する霊は本格ホラーのそれ。
悪霊であれ、害があるかどうかわからない霊であれ、その姿は見たものからすると恐怖を覚えるビジュアルをしていて、その態度から「自分が見える人を求めている」ことが伺えます。
「ちょっと霊感がある人」とは違い、はっきりバッチリ霊が見えてしまう、でも人並みに怖がりな彼女はいつも必死に見ないフリ。
読んでいて、絶対にリアクションしてしまう…!と、物語の中だけのものとして終わらず、つい「自分だったら」を考えてしまいます。
彼女は霊媒師でもなんでもなく、そのような知人もいないため、霊がどのような存在なのかは想像するしかありません。香水の成分で消滅する霊がいたり、霊から守ってくれる神様のような存在がいたりなど、この世界の不思議は全くわかりません。
コワいだけではない話として、次のようなエピソードがあります。
猫の里親になると名乗り出てきた男性の周囲に、猫と思しきたくさんの霊がまとわりついていることを見て、彼に猫を引き渡すのを中止したのです。この展開には、男性への強い疑いと嫌悪を覚えるとともに、猫が無事に他の優しそうな方に引き取られたことに安心しました。
また、産休をとる先生のお腹辺りに白い手のようなものが見え、心配の声をかけると、先生からは一人目が無事に生まれず、今回は二人目であることを打ち明けられます。白い手は小さな赤ん坊のようで、先生の指を愛おしそうに掴んでいるのです。
黒い霊ばかりが登場していた本作にも、色々なタイプのものがいるのだと感じられ、「霊が見える子が必死で無視をする」という内容ながら、ゆっくりと霊のことが理解できそうな要素が集まっていく展開は飽きることがありません。