オルフェウスの窓

オルフェウスの窓

『オルフェウスの窓』(オルフェウスのまど)とは、池田理代子作の長編漫画。20世紀初頭のヨーロッパを舞台に、第一次世界大戦やロシア革命といった史実を織り交ぜて、ドイツ・レーゲンスブルクの音楽学校で出会った3人の若者の運命を描く。物語は大きく4部から構成され、舞台もレーゲンスブルクからオーストリアのウィーン、ロシアのサンクト・ペテルブルク、レーゲンスブルクへと変転する。第1部は『週刊マーガレット』1975年(昭和50年)第4・5号から1976年(昭和51年)第32号に掲載され、その後『月刊セブンティーン』1977年(昭和52年)1月号から1981年(昭和56年)8月号に掲載された。
1980年(昭和55年)に第9回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞している。1983年(昭和58年)には、宝塚歌劇団星組で舞台化された。

violetのレビュー・評価・感想

オルフェウスの窓
8

ロシア革命を舞台にした名作

「ベルサイユのばら」で有名な池田理代子先生の作品です。時代は、ロシア革命前夜から第一次ロシア革命頃のドイツ、オーストリア、ロシアが舞台となっています。
第一部はドイツが舞台、第二部はオーストリアが舞台、第三部はロシアが舞台、第四部は再びドイツが舞台となっています。私としては、第三部が一番好きです。
侯爵家に生まれながら革命家として身を投じてゆくアレクセイ・ミハイロフと、同じく侯爵家の若き党首で最期までロマノフ王朝に忠実なまま壮絶な最期を遂げるレオニード・ユスーポフ公を対比しつつ、主人公であるユリウス・レオンハルト・フォン・アーレンスマイヤの悲恋が描かれています。
ギリシア神話のオルフェウスの悲恋伝説と、史実であるロシア革命を見事に融和させながら、壮大なストーリーとして構成されています。歴史に興味が無くても、このマンガを読めば、ロシア革命が起こった頃、第一次世界大戦下のヨーロッパの歴史に自然と興味が湧いてくるはずです。
少しだけ不満なのは、第一部の主人公であるユリウス・レオンハルト・フォン・アーレンスマイヤにあまりに救いが無いことでしょうか。
愛し続けたクラウスことアレクセイ・ミハイロフと結婚したことまでは良かったのですが、最後にアレクセイ・ミハイロフが死んでしまい、さらにアレクセイとの愛の結晶まで死産してしまいます。その上ユリウス・レオンハルト・フォン・アーレンスマイヤも記憶喪失になってしまった挙げ句、殺されてしまうというのはあんまりだと思いました。