武力を行使するということ
イラクに派遣された伝説のスナイパーがテーマの実話を元にした物語。愛国心から志願し兵士となった主人公が伝説のスナイパーとなっていく様がリアルに描かれており、FPSゲーム等が好きな方には非常に楽しめる作品となっている。近代兵装で武装した兵士たちが敵側の民兵との対比、日常の中にある戦場は報道等でみるのとはまた違った表情で描かれている。主人公がPTSDで帰国してから日常の生活で時々出てくる凶暴な衝動や再度任務についた際にそこに居場所を感じ、徐々に戦争の狂気に蝕まれていくところは兵士の精神的に受けるダメージの深刻さがよく分かるシーンとなっており、肉体の負傷だけではなく、心の負傷が戦争の中にいる人達に襲いかかる様が見ていて怖くなって来る。主人公は退役後自身の経験を活かし兵役について心の傷を負った退役軍人のケアを行っていたのだがある日その患者に殺されるという悲しい最後を迎え、映画はエンディングを迎えるのであるが、エンドロールでは実際の葬儀の模様が流れてくるのですが市民が沿道で国旗を振りながら見送る姿は、国が武力を行使するために任務にあたった人に対し、きちんと尊敬と感謝の気持ちを持ち、表明するところがこの映画で一番考えさせられるところでした。