私はゴースト / I Am a Ghost

私はゴースト / I Am a Ghost

『私はゴースト』(原題:I Am a Ghost)とは、H・P・メンドーサ監督による2012年のアメリカのホラー映画。 2012年のサンフランシスコ国際アジア系アメリカ人映画祭で初公開された。アメリカでの公開日は2013年10月29日、日本での公開日は2016年1月2日。本作は、「ブラム・ストーカー国際映画祭 2012」の作品賞、「PollyGrind Film Festival」の最優秀ホラー賞、「SF ウィークリー 2012」の最優秀ホラー賞などを受賞している。
自分が死んだことを忘れている幽霊のエミリー。毎日自宅で同じ日々を過ごしていたが、あるときシルヴィアと名乗る女性の声が聞こえる。霊媒師だというシルヴィアの言葉に従って「私は幽霊」と繰り返し呟いたことにより、エミリーは自分がこの家で殺されたことを思い出した。記憶を追体験するうちに自身の殺人現場を目撃することにおびえるエミリーだったが、シルヴィアに「あなたは解離性同一性障害であり、他殺ではなく自殺で死亡した」と告げられる。エミリーの中にはもうひとりの人格である悪魔がいたのだ。

nanau.terasuのレビュー・評価・感想

私はゴースト / I Am a Ghost
9

繰り返す、孤独なエミリーの日常

まず、目を引くのはこの作品のポスター。
暗視カメラで撮った白目の女性のアップ。
そして『私はゴースト』というタイトルがとてもシュールで気味の悪い印象を与える。

ストーリーのはじまりは、いつものようにエミリーが朝起きて一日をスタートする所から始まる。
ご飯を作り、買い物に出かけ、掃除をし…。
繰り返しこの朝がやってくる。次第にまったく同じ日常に変化が起き始める。
そして突然霊媒師だというシルヴィアの声だけが聞こえ、エミリーに「あなたは死んでいる」と告げる。

珍しい、幽霊目線のループもの映画である。
一軒の家で完結され、各部屋にカメラが固定され撮影されている。
一見、おしゃれなミュージックビデオを見ているようなイメージ。
だんだんと、エミリーの記憶が呼び起され映像も薄気味悪いものになっていく。
彼女はなぜ成仏できずに日常を繰り返していくのか、本人の知らないエミリーの正体に
死んでもなお追い込まれていくさまが怖くも最後までひきつけられる。

本編は76分と短いため、余計な要素が一切なく、ストーリー構成がきちんとしているため、決して退屈しない作品だ。
ただのホラー映画としてではなく、サスペンスとして楽しんでもらいたい。

そして、この女性の日常シーンから始まる物語は、撮影の仕方が変わっていて面白い。
この作品はホラーに分類されるが、序盤はおしゃれなミュージックビデオを観てるようだ。