10
音楽性の幅があり、たくさんの世界を見せてくれる
SEKAI NO OWARIというアーティストは、2006年に結成されたバンドである。「幻の命」でデビューした頃は、「虹色の戦争」「天使と悪魔」など、社会性のあるメッセージを歌詞に盛り込み、それを明るいメロディーにのせて歌うという、一見すると暗いバンドであった。デビュー曲の幻の命は、暗い歌詞に暗いメロディー、おまけに暗いバンド名だったので、あまり印象は良くなかったのを覚えている。しかし、戦争や平和、いじめや正義についての考え方、価値観については共感することも多かった。本質をついた歌詞が、彼らの魅力だと思った。しかし、徐々に「眠り姫」「RPG」に代表されるような、ファンタジー世界を音楽にしたような曲が増えてきた。初期の音楽性がある程度成功しているにもかかわらず、それにとらわれず、また違う音楽を生み出すのがSEKAI NO OWARIであると思う。「Dragon night」のように、洋楽にアレンジできるような曲も増え、最新アルバムの「Eye」「Lip」では、歌詞が全て英語の曲も多い。海外に向けての音楽も作りつつ、今までのようなメッセージ性の強い「LOVE SONG」や、ファンタジーの要素を持つ「千夜一夜物語」という曲もある。そんな様々な世界観を持つバンドなので、飽きることはないと思った。