ブレードランナー / Blade Runner

ブレードランナー / Blade Runner

『ブレードランナー』とは、フィリップ・K・ディック作のSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の映画化作品。監督はリドリー・スコット、脚本はハンプトン・ファンチャーであり、1982年に公開された。
レプリカントと呼ばれる、人間と区別がつきにくい人造人間6名が火星から地球へと逃亡してくるのをきっかけに、主人公リック・デッカードがレプリカント狩りのため復職につく。すべてのレプリカントを狩れるのか。人間と機械の違いとは何か。SF映画「禁断の惑星」や「メトロポリス」に次ぐSF映画の金字塔。

inuyamanekotaroのレビュー・評価・感想

ブレードランナー / Blade Runner
8

近未来

最初にこの映画を見て感じたのは、斬新でスタイリッシュ、それでいてアジア的で、どこか古ぼけた退廃的な世界観だなと思いました。
ハリソンフォード演ずる、主人公デッカードが、街中の日本料理店(ラーメン屋?)で食事をするシーンが印象的です。このシーンについては、いろいろなレビューや評価があるようですが、自分の場合はこのシーンで一気に映画に惹き付けられました。
雨が降り注ぐなか、デッカードは順番待ちをして店で食事をします。店と周囲の雰囲気が独特で、一見近未来的なのですが、そこに何か雑然とした、異国情緒あふれるというよりも、どこかアジア的な雰囲気で、そこに日本の文化が入り交じった用なただ住まいの街並と店です。
また店内で食事する人々の服装も、近未来的‥というよりも、いろんな文化の入り交じった用な独特のファッションセンスです。彼ら彼女らが器用に箸を使ってうどん(ラーメン?)をすすったり、店員に注文する姿が妙に味わい深く感じます。
そこに寿司屋のマスターのような主人と、デッカードのやり取りが絶妙に絡み合います。マスターのおかしな日本語も素敵です。
具体的に何を食べているのかわかりませんが、独特の雰囲気と世界観の中で生きている、ハードボイルド風の主人公・デッカードが麺を啜る姿が妙に美味しそうに感じました。
作品は、アンドロイドの反乱を描いた物語ですが、実は主人公もアンドロイドかもしれない‥という伏線もあるそうです。しかし私が魅了されたのは、この作り込まれた世界観、ごちゃ混ぜでカオス、それでいて芸術的な雰囲気と設定です。
物語序盤からレイチェルという、魅力的な女性のアンドロイドが登場します。
アンドロイドと分かっていても、デッカードは彼女と恋に落ち、二人で一緒にピアノを弾くシーンはSF映画というよりは、ハードボイルドな刑事映画のラブシーンさながらで、独特の世界観と絡み合い私は好きです。
派手なアクションよりも他にも見る所がいろいろあり、何よりデッカードが兎に角渋くて、素敵です。
ストーリーよりも、他に目が行く映画という意味では今までで一番でした。