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「絶世の美少女ヒロイン」に食われないバイプレイヤー達が魅力
天使な小生意気は、「幼少期、不思議な本によって絶世の美少女に変えられてしまった少年」が主人公の少年漫画です。
その設定だけ見れば何でもありのファンタジーものに感じられますが、開いてみれば王道的ともいえる学園もの。絶世の美少女であるヒロインと、その陰に隠れがちだけど実はかわいい親友、「西森漫画といえば」な印象のヤンキー主人公、そのヤンキーと対をなす寡黙な美青年にモブらしい男二人、という間違いないバランスのメンツが物語を紡いでいきます。
ここで凄いのは、普通の漫画ならヒロイン&主人公以外は添え物になりがちなメンツなのに、「全員主人公」といっても差し支えないくらいのキャラクターの深さがあり、読み手の胸を熱くする活躍を見せてくれるところです。
特に終盤、ヒロインの親友がヒロイン役となり、元少年設定のヒロインがヒーロー役を担うストーリーでは、女の細腕一つでは担い切れないヒーロー的部分を他の登場人物全員で補うシーンひとつひとつに感動してしまいます。
「天使な小生意気」についてひとつ主張したいのは、絵柄の味です。一見ヘタウマ系の絵なので、表紙に手が伸びづらいという人もいるでしょう。しかし、読んでいけば「このヒロインはまさに絶世の美少女だ」としか感じられなくなるでしょう。