クラシック音楽を楽しみつつあり得ない恋愛展開ではなく、普通の女子高生目線で楽しめる良作です
通常の恋愛アニメと異なるのは、主人公がいい子すぎたり、特殊能力を持っていたり、天才的だったりする点が無い点でしょう。だからこそ共感できる、だからこそ楽しめる内容です。
主人公は今までクラシック音楽に接点も無かった普通の普通科に通う女子高生。彼女は突然、音楽の妖精の姿が見え、それがきっかけで音楽の世界に入っていきます。当然、今まで楽器を弾いた経験も無かった主人公ですが、音楽の妖精に与えられた魔法のヴァイオリンで、周囲が驚くほどの演奏を披露。ただ、彼女が周囲を惹き付けたのは、技術ではなく、何故か心惹かれるその演奏。そして、そんな彼女の演奏を通じ、音楽家の生徒達も彼女に興味を示し始める、そんな物語です。
普通の女子高生が突然音楽の世界に入っていく、それは誰もが憧れるシチュエーションではあるでしょうが、普通の女子高生だからこそ、音楽の世界に惹き付けられていったあとの、葛藤や苦悩が垣間見えます、魔法のヴァイオリンに頼らず自分の力で表現したい、魔法のヴァイオリンに頼って周りを騙している自分が苦しい、もっと表現したい、もっと皆のように演奏したい。そんな苦悩が、とても美しく表現されています。また、彼女に興味を示しつつ、自分の技量を上げようと努力する個々のキャラクターの努力や葛藤も見所です。クラシック音楽に興味の無かった方も、「ああ、この曲はそんな意味が込められていたのか」「演奏者はこんな苦悩をいつも抱えているのか」と感嘆し、クラシック音楽に興味を持てるきっかけになるのではないでしょうか。ゲーム版では、攻略するキャラクターを選び、攻略に向けて悩み楽しめる一面があり、アニメ版では、それぞれのキャラクターとの「どうなるの?」といったドキドキ感が楽しめる、素敵な物語展開です。