闇金という仕事と現代社会の影
闇金ウシジマくんというタイトル通り、闇金業を営むウシジマの仕事を通し、それに関わる債務者のリアル、裏社会のリアルを描いた作品です。
もともと、アンダーグラウンドを題材としている作品を好むということもありますが、この作品が他の作品と異なる点は徹底的な取材に裏打ちされた「リアルさ」であると思います。光があれば影がある。通常の方々は普段接することがないと思いますが、現実としてこの世の中には影で生きる人たちも存在している。
個人的に好きなエピソードは「フリーターくん編」です。これは30代半ばのフリーター宇津井は毎日パチンコにスロット三昧と、消費者金融の借金は日に日に膨らんで行き、いつでも自転車操業。しかし本人の心のうちではいつか両親の遺産を相続して、現状のままでも生きていけるという甘えを持っており、一向に生活を改善しようとしない。そんなとき、早期退職した夫といつまでもフリーターのままでいる息子に不安を覚えた宇津井の母が詐欺師にはめられてしまいFXで大損してしまう。闇金であるウシジマは金貸しとして関わることになるのですが、そこから宇津井の生活は一変し、半ば強制的に変わらざるを得ない状況になってしまう。宇津井の状況、考え、心境の変化が非常にリアルです。