二重生活

二重生活

『二重生活』は雑誌『小説 野性時代』で2011年から2012年にかけて連載された小池真理子の小説。心理学を専攻する大学院修士課程の白石珠が、「何の目的もない、知らない人の尾行」を実行する。
2016年6月25日には映画が公開された。監督・脚本は岸善幸が務める。岸にとっては本作が初監督作品となる。主演は門脇麦で、本作が単独初主演作品である。

KEのレビュー・評価・感想

二重生活
10

原作読みたくなりました。

小池真理子さん好きで結構読みましたけど、本作は未読。
エンディング見ておぉって気付く。
原作読みたくなりました。
「陰があってちょっとエロティックだけど色気の無いどこか欲望に溢れた女性」私の小池真理子作品の女性たちのイメージなんですけど、門脇さんぴったりw
二重生活って言うのは尾行することで、同じ行動を2人でするってことなんでしょうか。
そこから対象の秘密を垣間見る。
でも見えている物が全てではなく、見せかけの嘘もあるんだよ。
と、最後に教授に知らされる。
彼女の論文読んでみたいです。
こういう謎めいた作品、映画ぽくていいですね。
私は楽しめました。知らない人を尾行することは、結局、自分の心情を発見する作業になっていく。対象者の行動を見ている時、その公的な良し悪し、倫理性がどうとかではなく、自分の内面がどう変化していくか、それを自身で考察せよということが、教授の狙いだったのではないだろうかと思う。

ただ主役は、感受性、他者との共振性が人より強く教授の狙い以上に対象者に近づいてしまった。尾行が下手だったからという実務的なことよりも人間をただ観察するという第三者になり切れない性格だったことが問題だったのだ。

でも恋人にも捨てられ、ふと我に返って「観察者」として成長し、教授を次のターゲットにした彼女に教授は驚きつつ満足したわけだ。

だから「哲学」というフレーズを掲げても良い映画だ。ただ、エンタメとしては物足りないのも確か。もっと遠慮なくベタにドキドキわくわくさせてくれるサービス精神がもう少しあってもテーマや空気感は壊れなかったのでは?と思った。