小袋成彬のSelfishが想像以上に良かった
宇多田ヒカルプロデュースという鳴り物入りで登場した小袋成彬。宇多田ヒカルファンとしては見逃せないなと動画サイトに曲を聴きに行きました。最初に聴いた印象はまあまあ。面白味のある曲ではないけど、情緒的な声に雰囲気のあるプロモーションビデオ。割といいかな、という感じで一度聴いてウィンドウを閉じました。次に聴いたのは車に乗っていた時のこと。ふと有線からサビが流れ始めました。「時代に華を添えたくて筆をとってたわけじゃない」。悲しげにのびやかに歌われるこの歌詞が突然心に響きました。いい曲でも、何度も聞かないと入ってこないものもあります。私にとって、Selfishはそういう種類のものでした。
家に帰って歌詞を調べると、どうやら付き合っている女性に自分の本質的な暗い部分を理解されない男の歌のようです。彼自身が作詞家であったことや、実体験を歌うと公言していることから、このサビは彼の想いそのままだったのでしょう。恋人に、現代の音楽シーンを盛り上げてて凄いだとか、そんな褒められ方をされたのかなと想像してしまいました。アルバムタイトルにもあるように、彼は過去の悲しみを分離するために筆をとっているのでしょう。やるせなさと、どこかすがりたい気持ちと、ノスタルジーを感じさせる歌声。文学的な歌詞。ハマる人にはハマる名曲です。