センスの塊のような作品
トイレを探す始まりから心を掴まれました。
ビリーは変わってる。プライドも高い。
でもトイレで「生きられない」と髪をかきむしる。自分でもわかってる。でもどうしてもおかしくなる。
ココアのようにゆっくりゆっくり心を温めてもらって、最期クッキーを買ってモーテルの部屋まで走る気持ち。
こういう時の気持ちって最高じゃないか。
アート系オサレ映画
全体的に青みがかっていて寒々しい映像。
ヒステリックで器の小さい男のくせに付く嘘はデカい、デカすぎで信憑性が持てないところがまたちっせー男感を出してる小物をギャロが好演。
そんなロクデナシの男を優し包み込んでくれる謎の女がクリスティーナ・リッチ。全く背景が描かれないミステリアスな女。神様がビリーの為に天から落としてくれた地上の生き物ではない感。唐突にボーリング場でタップダンスとか始めちゃうし、浮世離れしている。
音楽も60年代だかそこらを髣髴とさせるなんかレトロでオトナなメロディ。
雰囲気を楽しむ映画なのかな。
傑作。ヴィンセント・ギャロの美意識炸裂でこれでもかとやりたい放題かましてる。古いフィルムによる映像美、センス溢れるカット割り・編集、斬新なストーリー。センスの塊のような作品。ただの退屈なだけのオシャレ映画ではない。クリスティーナ・リッチが超可愛くてもう魅力しかない。繊細でバカでヘタレのギャロも愛すべきキャラクター。ラストの余韻が心地よく妙にほっこりした気分になる。