今の時代だからこそ、考えさせられた。
私は「ベッカムに恋して」を見て、国籍、肌の色の違い、祖国の違い、宗教の違いによって、こんなにも多くの事に亀裂が出来てくるのかと驚かされました。主人公のジェスの行動は現代の私達からするとそう変わった事には思えませんでした。しかし、「移民」である彼女だからこそ、周りの視線は「自分と違う者」として受け入れ難い部分があるのではないかと思いました。
イギリス社会におけるインド系イギリス人は、アイデンティティの違いによって恋愛、結婚、クラブまでも規制をされることに驚きでした。ジェスがバス停で友人のジュールズとはしゃぎ合ってハグしているところを姉の婚約者の両親に見られ、ジュールズがショートヘアーだった故に男の子とキスしていたと勘違いされ、それによって姉は婚約破棄にまで至ったシーンで、国籍を超えた恋愛は禁止であることご描かれていました。
ジェスの姉もジェスに何度も「インド人でもいい男はいっぱいいるわ。」とジェスに言っていたため、移民だからと言った理由で恋愛を自由にする事が出来ないという当時の状況がよく伝わりました。後に恋愛に発展していった女子サッカーチームのコーチであるジョーとの恋愛模様はとても切ないものでした。時間や距離ではなく、意思に問わず生まれてきた時点で既に国籍は決まっているため、どうしようもない事には抵抗出来ません。世間の目というものはとても威圧感があり、大きなものであって、そう簡単に乗り越えられるものではありません。人はなぜ自分と違うものを受け入れられないのか今でも不思議に思っています。
そして、ジェスのお父さんが過去にクリケットの選手でしたが、お父さん自身も過去にイギリスのクリケットチームに居て、プロを目指していたにも関わらず「インド人」というだけでイギリスのクリケット業界から追い出されてしまったのです。そんな経験があったからこそ自分の娘には期待を持たせたくないと思い、ジェスにサッカーを止めるよう言っていた所はとても複雑な思いで見ていました。今まで先生が用意して下さったビデオの中で、「第一世代と第二世代では時代が変わっていて、環境も変化している」というのが私の中で強く印象着いているため、このシーンにも共通して言えるのではないかと感じました。実際、その後ジェスは国籍を越え、サッカーの推薦でアメリカの大学への入学が決まった時は時代は変化していくものだと実感しました。
国と国の差異は未だに残っていますが、だんだんと減っていっているのではないかと思い、将来「移民」であろうと国籍を越えて、誰もかも壁をなくした時代が来てほしいと思っています。第一世代、第二世代、第三世代と進んでいくにつれ、第二世代のような考えが浸透して欲しいと思いました。