ある意味でリアルな歌詞の歌手
倖田來未の全盛期であった2000年代半ば、私は正直のこの歌手を心底嫌っていました。というのも、声が汚いということと、歌詞が自分の恋愛事情と性欲の話題ばかりだということ、そしてパフォーマンスが露骨に性的で下品だということが理由でした。
それでも、そこから10年程度たつと割と冷静にこの歌手について分析できるようになりました。普遍的な愛だとか、家族や友達を大切にする想いだとか、世界平和だとか、そういった綺麗事の内容の歌詞を歌う人に比べると、恋愛事情や性欲などの生々しいリアルな歌詞を歌う倖田來未はずっと真実味のある歌詞を口にしているのだな、と今なら言えます。政治や宗教の色が無く、ある意味では大衆に媚びていないのが倖田來未の曲の作風、という感じがしないでもありません。
正直、深味のある歌詞ではなく本人の歌も上手い部類ではないのですが、何となく車の中、部屋の中などが寂しい時に雰囲気でかける曲として倖田來未の曲は悪くはありません。とにかく、雰囲気という点に倖田來未の曲を聞く意義が集約されています。1990年代前半生まれの人物であれば、倖田來未の曲は比較的なじみがあるのではないか、というのが私の意見です。