タイトルなし
犯罪を犯してしまった少年が大人になり刑務所を出所し、名前も変え「ジャック」として新たに生きていく、人生をリスタートさせるところから物語は始まる。主人公は仕事も見つかり、職場で良い友達・彼女もでき、順風満帆に過ごしていく。ある時、勤務中に森で事故にあった車を見つけた主人公は、すぐさま車に駆け寄り中にいる少女を助け出し一躍ヒーローとなる。だが、この活躍で注目を浴びたことにより、過去に犯罪を犯していた少年ではないか?と取り沙汰されてしまう。ジャックの後見人であるテリーの息子が、ジャックの過去をマスコミにリークしてしまったことがきっかけであった。テリーはジャックのことばかり、自分のことはかまってくれないのに彼ばっかり!と嫉妬したことも引き金となってしまった。実の息子の相手はしてくれないくせに、と思うテリーの息子の気持ちもすごく理解できるし、息子の我儘さや働かい様子から自業自得…というのは言い過ぎだが、何故ジャックに向けてしまったのか、その気持ちをまっすぐ父親にぶつけることが出来なかったんだろうという気持ちもどちらも理解できる。テリーの表情からテリー自身の後悔も汲み取れる。演者がとにかく上手い。少女を殺してしまったというジャックの過去が取り沙汰され、職場からは来なくていいと言われ、友達も彼女も離れていき、次第に孤独になっていく。彼女に電話をかけ留守電にメッセージを残し、ジャックが海に身を投げようとするところで映画は終わる。ラストシーンは身を投げようとするジャックを演じるアンドリューガーフィールドのアップのみなのだが、この表情だけで鳥肌が経ち涙が出た。過去は消せないという哀しさと、少しでも人生をやり直せた希望がラストのアンドリューガーフィールドの表情に全て出ている素晴らしいラスト。実際に遺族からすれば殺人犯、ましてや少女を殺した犯人など赦せるものではないと思う。ただ、善行を繰り返しても、どんなに生まれ変わろうと悔い改めようとも、ジャックに生きる道はなかったのか、どうすれば人生やり直すことが出来たのかとすごく考えさせられる映画である。