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童貞バンド
ここまで童貞の気持ちを代弁してくれるバンドはないと思う。それはきっとボーカル柴田の童貞歴が長かったからであろう。クラスのカースト上位にいる人たちにはわからない気持ちを歌ってくれる。何も出来ない情けなさとか、女の子に話しかけられただけで嬉しくなっちゃう気持ちとか、どうせ自分のことなんて好きになってくれないという諦めとか、女の子と簡単に話せてしまう人たちへの嫉妬とか。そういったモヤモヤを、言葉にして、音楽にしてくれる。もちろん歌の対象は童貞だけじゃなくて、バカなことをやる人とか、音楽をやっている人とか、そういう人たちのことを好きになって、その人たちへの愛を歌う。自分のことが好きになれない人に対して、好きっていう。そういう心の広さを持っているバンド。そういった意味でとても優しいバンドなのだと思う。
世の中には、きらきらと輝いてるバンドがたくさんあって、そういうバンドに救われる人がたくさんいるけど、そういうバンドがまぶしすぎて、好きになれない人もいる。そういう風にあぶれてしまった人たちを救うことの出来る、等身大の歌を歌う貴重なバンドなのだと思う。童貞でも、バカなことしか出来なくても、生きてていいんだって思わせてくれる、そういうバンド。