唯一無二の歌姫
1999年のグラミー賞で5部門を受賞する快挙を成し遂げ、話題騒然となったローリン・ヒル。アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』は、HIP HOP、ソウル、R&Bの最高の到達点として輝きを放っています。
それまでのR&B音楽に対して、恋愛のいざこざを歌うだけの内容に疑問を抱いていたローリン・ヒルは、HIP HOPのラップの要素を取り入れて内面に訴える歌詞を歌うことに成功します。「しゃべるように歌う」と評された独特のスタイルは、伝えたいことを自由に表現できる武器となりました。
『The Miseducation of Lauryn Hill』以前は、ハイスクール時代に出会ったハイチ系移民のワイクリフ・ジョンとプラズの2人とともにバンド『フージーズ』で活動し、ヒットしています。ソロ活動のきっかけとなったのは長男の出産。出産に対しては周囲から懸念もありましたが、キャリアよりも心の声を優先して信念を貫き、このとき産まれた新しい命に対する愛と喜びを歌った曲も『Zion』としてアルバムに収録されています。
女優として映画出演も果たし、『天使にラブソングを 2』では女子高生役を演じました。映画のシーンの中では心のこもったゴスペルを聴くことができます。
グラミー賞の受賞以降は、自分を見つめなおす時間をとるために表舞台から遠ざることを選び、指導者のもとで聖書を学びながら静かに過ごします。2年後にMTVアンプラグドでカムバック。ギターを手にしたアコースティックライブを披露して新しい価値観を表現しました。
『The Miseducation of Lauryn Hill』以降からアルバムが出ていないのは非常に残念ですが、確立された独自のスタイルや特徴的な歌声はローリン・ヒルにしか出せないソウルとして、人々を惹きつけています。