GUNSLINGER GIRL

GUNSLINGER GIRL

『GUNSLINGER GIRL』(ガンスリンガー・ガール)は、『月刊コミック電撃大王』(アスキー・メディアワークス)に連載された相田裕の漫画、およびこれを原作とするテレビアニメ・ドラマCD・コンピュータゲーム作品。略称は「ガンスリ」。架空のイタリアを舞台に、「身体を改造した少女の殺し屋」を運用する対テロ機関「社会福祉公社」とテロリスト集団「五共和国派」との戦いを軸にしたガンアクション漫画。
イタリア政府は障害者への様々な支援を行う組織として公益法人「社会福祉公社」を設立する。だがその実態は、施設に集まった障害を持つ少女たちに反政府組織に対する暗殺をはじめとした超法規的活動を行わせる組織だった。「義体」と呼ばれる人工の肉体と引き換えに、銃を手に戦う運命を背負わされた少女たちの物語。

sionのレビュー・評価・感想

GUNSLINGER GIRL
9

少女と銃と大人の物語

この漫画は少女が銃を持ってテロリストと戦う、というガンアクションが爽快な漫画ですが、ストーリーも細かく作り込まれており、とても見応えがあります。
登場人物の大人の方はそれぞれが重い問題を抱え、それとどう向き合って行くのか思い悩みながら話は進んでいきます。
一方、少女たちの方はとても純粋で、どの子もとても少女らしい可愛らしさがあります。
少女たちは皆体を改造されており、ほとんどが機械で素手で人を殺すことも容易いほどですが、多くの人のイメージにあるロボットのようではなく、些細なことで思い悩む少女なのです。
彼女たちにはあらゆる"仕事"を効率的に進めるための暗示がかかっており、人を殺すことにためらいはなく、悪い人をやっつけている程度の認識しかありません。
大人たちはそれを全て把握した上で彼女たちを利用するのです。
もちろんそのことについての葛藤はありますが、仕方がなかった、そう言える事情もたくさん出て来ます。
これは許される行為ではない。徐々に機械化の副作用により記憶障害を起こしてくる少女たちを見て大人たちが割り切れない感情を露わにします。
こんな生き方しかできなかった。これでよかったという訳でもない。けれどこれが自分の人生だ。
人間の不器用な部分、自分の汚い部分に目を瞑ってしまう卑しさ、しかしさっぱりと割り切ってしまうことのできない良心的な面、これが人間という生き物か。そう思えてくる作品です。
この作品を見ると色んな思いがこみ上げて来ます。
ガンアクションが好きな方にももちろんおすすめなのですが、そうでない方にも是非一度読んでいただきたい作品だと思っています。