ジャンプ新鋭、アクタージュがすごい
週刊少年ジャンプには珍しい、女の子が主人公の、それも女優を目指し成長していく漫画です。
なんと言ってもこの漫画は絵柄もストーリーも繊細で美しく、登場人物たちひとりひとりの物語を魅力的に描いています。
「デスアイランド編」では、主人公の夜凪景がスター女優の百城千世子を濁流から庇い、斜面へ流されていってしまうという緊迫の場面があり、見ているこちらまで驚き、緊張してしまいます。完璧に作り上げられた女優という仮面を取り落とした千世子の、泥まみれになり呆然としながらも絞り出した「ありがとう」の台詞、その今にも泣きそうな横顔の美しさは息を呑むほど美しいです。
「舞台銀河鉄道の夜編」でも、波乱の展開から始まります。景がカムパネルラの役に抜擢され、役作りに悩むのですが、他のメンバーや千世子に触発されグッと成長し役を掴んでいきます。更に「銀河鉄道の夜」の監督が景にだけ癌で余命少ないことを教えたり、公開初日に倒れ監督不在のまま舞台を始めなければならなくなったりと、ハラハラドキドキです。しかし、成長した景は不安がる共演者たちを静かに叱咤し、完璧なカムパネルラとして舞台に立つことで共演者たちの目を覚まさせました。その描写はあまりに綺麗で、思わず目を剥いてしまいます。泥臭く美しい物語です。