探究心から生まれる人間の本性を暴く
この作品の世界では、誰もがアビスという大穴に強い関心を抱いている前提でストーリーが続く。アビスという大穴の魅力に取り憑かれた人々は、それが一体何を意味するのか、もしくはその穴を通して自分の存在を確かめる為にそこを探索するのである。目的は違えどアビスに対する探究心は皆同じ。そしてその探究心が人間の本性を暴くのである。
あるものは真っ直ぐに底を目指し、あるものは遺物を発掘し研究し、あるものはあらゆる物を使い実験する。目的を遂行するための手段が様々なのは、本来の人間の在り方なのかもしれないが中には非人道的な事も起きていたりする。それが観ている者の倫理感に訴える作品になっている。
登場人物の誰もが皆正しい事をしているというという認識であるため、何らかのキャラクターには感情移入しやすいかも知れない。特に主人公達は子供であるため同情する場面は多いかも知れない。アビスの中はあらゆる試練の連続であり、それに立ち向かっていくヒューマンドラマとも言える。
前半は少し間の抜けた雰囲気だが、後半にかけて段々とシリアスな展開へと変化して行く。この作品は作画がとてもクオリティが高いのでそれがまた暗い独特な世界観をしっかりと表現している。