奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ / Les heritiers

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ / Les heritiers

『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(原題:Les heritiers)』とは、2016年公開のフランス映画。監督はマリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール。出演はアリアンヌ・アスカリッド、アハメッド・ドゥラメなど。
物語の舞台は、貧困層が暮らすパリ郊外のレオン・ブルム高校。学校から見放された問題児ばかりのクラスを、ベテラン教師アンヌ・ゲゲンが情熱を持って指導し、次第に変化していく様子を描いている。実話をもとにしており、今作でアハメッド・ドゥラメはセザール賞有望男優賞にノミネートされた。

mhubertのレビュー・評価・感想

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ / Les heritiers
9

教育の持つ力

パリの郊外にある高校の、落ちこぼれクラスの生徒たちが、全国歴史コンクールへの参加を通じて変わっていく様を描いた、実話に基づく映画です。
「ナチスの強制収容所」というテーマの重さに、生徒たちは猛反発するものの、次第次第にその表情や姿勢が変わっていく様は見事です。
とはいえもちろん、順調なだけではありません。テーマを茶化してしまう子がいたり、来なくなってしまう生徒がいたり、話の進み方が非常にリアルです。
本格的に生徒たちが変わるきっかけは、強制収容所から生還したレオンの話を聞いたことでした。レオンの話は、観ている私も生徒の一人になったかのような気分で聞いてしまい、自然に涙がこぼれました。

感じたのは、生徒たちを導いたアンヌ先生が発揮した、教育の力です。落ちこぼれのレッテルを張られ、自己評価も低い生徒たちに、アンヌ先生はきちんと向き合います。彼らの力を引き出し、認める一方で、間違った部分は容赦なく指摘し注意します。一人の人間として認めてもらっていると感じたからこそ、生徒たちもアンヌ先生を認め、自主的に課題に向き合うようにもなっていったのだと思います。学生時代に、こんな先生に出会いたかったと思う人も多いのではないでしょうか。
重いテーマを含んでいますが、若者の持つ力、彼らが担う未来の明るさを感じられる、良い映画です。