一度でも楽器を触ったことのある人間なら間違いなく青春時代を思い出す傑作
とある高校の「ロック研究会」を舞台に、バンドを始めた少年達の成長を描いた青春ロックドラマです。
やりたいことを見付けたいと切望していた一年生の男の子を主人公に、初めて生の音楽に触れ、歌う喜びを知り、誰かと一緒に演奏する楽しさを感じていく模様が緻密に描写してあります。
物語の中でメンバーが抱える苦悩や葛藤は、楽器を扱ったことのある人ならば、一度は感じたことがあるであろうリアルなモノです。一つ一つのドラマが進行していく度に、目頭が熱くなります。
一作品としては、線が粗かったり、セリフの言い回しにに気になる点があったりしますが、それを補って余りある熱狂度が確かにあります。
等身大で描かれる登場人物の人物像は、誰にでもどこかしら共感出来るところがあり、彼らが成長していく度に、自分自身も成長出来ているような気さえしてきます。
また、演奏パートなどで見ることが出来るダイナミックな動きは臨場感抜群で、実際に存在する曲の歌詞が引用されていることも相まり、絵と文字で構成された世界の中でも、「ライブ感」を肌で感じることが出来ます。
先の展開が気になる秀逸な物語構成、個性豊かなキャラクターなど、音楽にあまり興味が無い人でもきっと楽しめる注目作です。