耳をすませば / 耳すま / Whisper of the Heart

耳をすませば / 耳すま / Whisper of the Heart

「耳をすませば」は、1995年に公開されたジブリ映画。原作者は柊あおいである。この映画は、ジブリ作品を作画で支えていた近藤善文の最初で最後の監督作品で脚本・絵コンテは宮崎駿が担当している。ストーリーは、主人公「月島雫」を中心に恋や夢、悩みなどを描いている。誰もが一度は経験したことがある甘酸っぱい青春ストーリーで未だに人気の高い作品だ。

ru_tan1のレビュー・評価・感想

耳をすませば / 耳すま / Whisper of the Heart
10

大人の階段をのぼる、その第一歩

「耳をすませば」は、1989年に少女漫画雑誌「りぼん」に連載されていた柊あおいの同名漫画を原作とし、スタジオジブリが1995年7月15日に公開したアニメーション映画である。監督には近藤喜文が就任し、スタジオジブリの監督の代表格である宮崎駿や高畑勲の監督作品ではないという点において、それまで制作されてきたジブリ作品の中では特異的な存在感を放っている。また、少女漫画原作ということもあり、思春期特有の悩み・恋・友情を淡く、甘酸っぱくストーリーに盛り込み制作されている点も、これまでのジブリ作品とは一線を画す内容となっている。
主人公の月島雫は中学3年生の女の子だ。受験を控え将来進む道について考えるもなかなかイメージが持てず、趣味の読書や空想にふけることに逃げるように没頭し、両親や姉にも心配をかける日々。友人との関係性においても、成長と共にそれまでとは違う変化が生まれ、戸惑い悩む姿も思春期そのものだ。刻一刻と進路を決めなければならないタイムリミットが迫る中、雫が新たに出会った人々の考え方や暮らし方に触れ、自分は将来どうなりたいか。そのために今どうすべきか。大人への第一歩を踏み出す少女のストーリーに目が離せない。
雫の恋の物語がストーリー展開の中心にあり大切な根幹を成している訳だが、「好き」から広がる、恋愛だけではない人としての成長への繋がりが、この作品の魅力と言えるだろう。本作のキャッチコピー「好きなひとが、できました。」は、まさに成長物語の幕開けを示すにふさわしいコピーである。ぜひ一度観てみてほしい。