ベルセルク / Berserk

ベルセルク / Berserk

1989年より三浦建太郎がヤングアニマル(前・月刊アニマルハウス)で連載している漫画およびそれらを原作としたアニメ、ゲーム作品。舞台は中世ヨーロッパを彷彿とさせる「剣と魔法の世界」。身の丈を超える大剣“竜殺し”を携えた剣士・ガッツが、超人的な強さを武器に、愛憎劇を経て復讐に燃える様を描く。

i3valleyのレビュー・評価・感想

ベルセルク / Berserk
9

壮絶な復讐劇と人間ドラマが交差する名作ダークファンタジー

『ベルセルク』は、三浦建太郎が手掛けたダークファンタジーの最高峰として、多くの読者に愛され続けている作品です。壮絶な戦闘シーンや深い心理描写を通じて、人間の本質や運命に抗う姿が描かれています。物語は、孤児として戦場で育った主人公ガッツの壮絶な人生を中心に展開されます。彼は巨大な剣「ドラゴンころし」を手に、数々の戦いを生き抜き、やがてカリスマ的なリーダーであるグリフィス率いる傭兵団「鷹の団」に加わります。

序盤は、ガッツとグリフィスの友情、そして彼らが共に戦い抜きながら「鷹の団」が成長していく姿が描かれます。グリフィスは強大な野心を抱いており、王国を手に入れるという夢を追い求めています。しかし、その野望はやがて悲劇的な方向に向かい、彼の選択が運命を大きく変えることに。物語の転換点となる「蝕」のシーンでは、グリフィスが悪魔的存在「ゴッドハンド」と契約を結び、ガッツやキャスカを含む仲間たちを裏切るという衝撃的な展開が繰り広げられます。この場面は、物語全体のトーンを決定づけると同時に、ガッツの復讐の旅が本格的に始まるきっかけとなります。

『ベルセルク』の最大の魅力は、ただ単に戦いの壮絶さだけでなく、ガッツの孤独や苦悩、人間関係の崩壊、そして裏切りといった重いテーマを丁寧に描いている点です。三浦建太郎の緻密で美麗な作画は、キャラクターの表情や感情を細やかに表現し、読者を深く物語に引き込んでいきます。特にキャラクターたちの心の葛藤や成長がリアルに描かれており、単なるアクション漫画を超えた人間ドラマが展開されている点で、他の作品とは一線を画しています。