ニクバミホネギシミ

ニクバミホネギシミ

『ニクバミホネギシミ』とは、パレゴリックによる怪奇・ホラー漫画。2023年より、新潮社のWebマンガサイト『くらげバンチ』で連載がスタートした。新潮社よりコミックスが刊行されている。ノストラダムスが人類滅亡を予言した1999年、三流オカルト雑誌の編集者・犬吠埼とカメラマンで霊感のある浅間は取材で向かう先々で、様々な怪奇現象に遭遇する。一方、2023年では年老いた浅間のもとに犬吠埼について調べる人物が訪れる。

csc2のレビュー・評価・感想

ニクバミホネギシミ
9

怪異系ホラーの正統派作品

ウェブ漫画の配信サイトである「くらげバンチ」にて配信が行われているホラー漫画です。
幼少期から強い霊感があるカメラマン男性と、三流オカルト雑誌のライターをやっている女性のコンビで展開していきます。

世に伝わる都市伝説やネット上の怪談、コズミックホラーなどの多彩な「恐怖」のエッセンスを多数含んだ怪異が1エピソードごとに登場。

どの怪異も作者「パレゴリック」先生の独特のタッチで緻密に、繊細に描かれており、不気味さとグロテスクな表現が共存した圧倒的な存在感を持っています。

物語の展開もホラー漫画らしい正統派の導入が多く、主人公コンビの職業柄、不自然な入りで自然に物語を負っていけるようになっていました。

主人公であるカメラマンはあくまで霊感が強く、多少の対処法を知っているというだけであり、基本的には主人公コンビは無力であることもポイントが高いでしょう。
マンネリ化すると霊感バトルに走ってしまうホラー漫画界隈内において、怪異が「人間ではどうにもできない存在」であることを強調し、恐怖を損なわず楽しめます。

反面、パレゴリック先生の絵柄は前述の通り非常に独特で、怪異の描写力などは圧倒的なものの、癖が強いことは確か。人間キャラクターも特徴が強いため、絵の好き嫌いはかなり分かれるものと思われるでしょう。
表紙のイラストで「苦手だな」と思ったら、受け入れられないと考えた方がいいかもしれません。

全体的に派手なグロテスクさや恐怖などはありませんが、じっとりと湿ったジャパニーズホラー的な恐怖を味わいたいならおすすめの一作。
息が詰まるような気持ちの悪さ、追い詰められていく精神的恐怖を描いたホラー漫画としては非常に出来が良く、思わず「こういうのでいいんだよ!」と言いたくなるような内容です。

ジャパニーズホラーの真綿で首を絞められるような恐怖が好きな人、正統派怪異系ホラーが好きな人は、1度チェックしてみてほしい漫画となっています。