藤井風

藤井風は、岡山県里庄町出身の男性シンガーソングライター。1997年6月14日生まれ。
中学生時代より親の勧めでYouTubeにピアノのカバー演奏の動画を上げ始め、その演奏スキルや歌声で注目を集めた。
2019年に上京。初のシングル曲「何なんw」のリリースによってメジャーデビュー。業界関係者から注目を浴び、メディア露出が増加し始める。
その後も異例のスピードで次々と新曲を発表し、2020年には1stアルバム「HELP EVER HURT NEVER」をリリース。同年中に日本武道館での満員ライブを実現させている。
2021年、紅白歌合戦に出場。これをきっかけに音楽好きだけでなく世間一般に名の知れたアーティストとなった。
留学経験はないものの幼い頃より洋楽を聴いて育ち、デビュー時から海外志向が強い。ライブでの英語MCや、ミュージックビデオでの外国人の役者との共演を通じて、海外にもファンを増やしている。

清水陽子のレビュー・評価・感想

藤井風
10

岡山が生んだ現代の天才

2020年にメジャーデビューした藤井風は「岡山が生んだ現代の天才」の1人。
端正なルックスや高い音楽性、素朴な人柄も大きな魅力ですが、特に独自性を持っていると感じるのはその「歌詞」の世界観。デビュー曲から一貫して「死生観」を歌っていて「死ぬことも生きることの延長線上、特別なことはない。ただ元いた場所に帰るだけ」というメッセージが込められています。
特に「帰ろう」という曲は藤井風が持つ死生観が色濃く出ていて、その達観したメッセージが込められたこの曲は、若者だけでなく老若男女問わずに支持されています。

アジアを中心に世界中で大ヒットした「死ぬのがいいわ」をきっかけに藤井風を知った海外のファンは、歌詞に込められたメッセージに対して「自分の信じている宗教にも通じる考え方」だとも。
人間の根源的なあり方を、難しい言葉を使わずに国境も越えた幅広い層に届けることは、藤井風にしかできない芸当だなと感じます。

若くしてその境地に達した理由は、父親の存在が大きかったようです。元々ミュージシャンを目指していて、信心深い父親のもとで育った藤井風は、幅広いジャンルの音楽と共に「常に助け、決して傷つけない」という精神を教えられていたといいます。
親子2代に渡る音楽と精神の集大成が、唯一無二の藤井風を作り上げていると感じています。