孤独と向き合い続けたからこその力強さ
浜崎あゆみといえば、きらびやかなサウンドとルックスで女子高生を中心とした若い女性たちのカリスマとして君臨していたイメージを持っている、30代40代の人たちは多いのではないだろうか。
曲調はわかりやすいダンスポップが中心であるが、キャッチーなメロディでスピード感があり、溢れ出す感情を次から次へと曲に乗せて歌う力強さがある。しかしどこか儚げな印象があり、それがコントラストとなって当時の私は心を掴まれてしまった。
なんといっても浜崎あゆみの凄さは、デビュー後のオリジナル曲は全て彼女自身で作詞している点が挙げられる。
彼女の楽曲に共通するテーマは孤独という自分自身の内面との葛藤である。母子家庭で孤独に育った自分の複雑な生い立ちを絡めて孤独と向き合い続ける歌詞は、当時の若い世代から自分の内面を代弁してくれる存在として認知された。儚げな印象はここからくるのであろう。
しかし孤独を受け止めて未来を切り拓いていく力強さも曲調からうかがえるのも事実である。
2017年にSNSで性的マイノリティーのことに触れ、「私はマイノリティーの一部として発信し続けようじゃないの。少数派である事イコール弱者ではないと。多数派イコール強者ではないと」とコメントし、その1年後のデビュー20周年の2018年にLGBTQのイベントに参加して、マイノリティーとして生きる人たちに希望を与えた。
きっと彼女は弱者として生きてきた自負があるのだと思う。そして孤独をしっかりと受け止めようとする姿勢が力強さに変わり、結果として弱者に寄り添える歌になっていったのだと感じる。
きらびやかなサウンドとルックスからアイドル歌手のように誤解していた人も多いかもしれないが、是非、そういった耳で彼女の歌を聴き直してもらいたい。