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もとの姿にもどっていくこころ
橋口亮輔監督、リリー・フランキー 木村多江主演の愛と再生のラブストーリー。
夫婦が静かに生きることと、闘いながらゆっくり自分たちの人生を取り戻していく。その当時まだ言葉すら知らない人が多かったのかもしれない、うつという病気を描いている。
日本画を描いているが法廷画家の仕事をしているカナオと、出版社勤務の翔子。ある日翔子に子供ができ、幸せの絶頂を感じていたものの、流産してしまう。それがきっかけで精神のバランスを崩していく翔子。そこから夫婦二人での10年間にわたる心と人生を再生する旅が始まっていく。
子供を流産したことで少しずつ心が壊れていく翔子を木村多江さんが儚げだけれど、芯の強さを感じさせる女性を好演している。生きる苦しさが映画の中にあふれているように感じることもあるが、柄本明と兄役の寺島進など、要所要所でひょうひょうとした演技をするキャラクターが出てくるので、気持ちが暗い方に向きすぎずにホッとできる所もあるのが良い。
暗い中に光がある。翔子の心が時間とともに再生していくにつれて、映画を見ている観客の私も、希望をもらった映画だった。心を病んでしまっても人間はこんな風に元に戻っていくことのできる存在であるのだという希望。
諦めなければ、誰かの愛があれば。