人生の主役は自分
「脱・さくら荘‼」を掲げる主人公の神田空太は高校2年の春、天才画家の椎名ましろと出会います。この2人に加え、問題児の巣窟「さくら荘」の住民たちを中心に展開される青春学園ラブコメディというのが最初の印象だと思います。しかし、実際に作品のキーになるのは、「才能」「嫉妬」「憧れ」「すれ違い」など、目を背けてしまいたくなるような感情に向き合いながら成長し、人間関係を築いていくという部分だと思います。
メインの神田空太と椎名ましろは、凡人と天才という対になる存在として描かれています。空太はましろがひたすら絵に打ち込み続ける姿に感化されて、ゲーム開発の道に進みます。ましろは絵だけを描いていた人生から空太と出会うことで恋心や、様々な感情を知っていきます。
一方で、空太はましろの才能に対して憧れと同時に嫉妬の感情も持ってしまい、ましろは初めての恋愛感情に戸惑い、空太とすれ違ってしまうという場面も。このように、凡人が天才に、天才が凡人に影響され、お互いにぶつかり合い成長していくというのも見どころのひとつです。
他にも、変人天才アニメーターや変態脚本家、引きこもりプログラマー、究極の努力家など、魅力的なキャラクターがたくさんいます。この作品にモブは存在しません。キャラクター全員にスポットライトがあたります。自分の人生の主役は他の誰でもなく自分だと思わせてくれる作品です。