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悪いのは幽霊だけではない
ホラー作品ではありますが、現実的な対処法を描いてくれるところが好きです。ホラー作品というよりは、スピリチュアルに近いかもしれません。現実的な対処法というのは、壺や墓を買えとか、お経を唱えろとかそういったことではなく、不調があるなら病院に行き、トラブルがあれば警察に頼ったり、弁護士を雇う、といったところです。
悪霊にとりつかれてしまった依頼者から相談を受けた時に、お札やお守り等を渡すことはあれど、その依頼者が依存心の強い方であったり、アドバイスを聞く耳を持っていない場合は深入りはしません。あくまでも本人の力によってトラブルを回避していきます。聞く耳を持てなかった依頼者は音信不通になっていきます。
霊障の部分はキチンと対応し、それ以上の心身の不調なら、ちゃんと現代医学や法律に頼る。この絶妙な距離感が素敵で大好きな作品です。怖い描写もありますが、一方的に幽霊を悪者にするのではなく、そういったものを引き寄せてしまう人間側の問題も考えさせてくれます。霊感商法が流行っている昨今だからこそ、スピリチュアルとの上手な付き合い方を教えてくれる作品だと思います。スピリチュアルにハマっている方こそ読んでいただきたい作品です。