『無職転生』の面白さの本質
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』は小説投稿サイト「小説家になろう」に2012年11月から投稿が開始されたライトノベル原作の漫画・アニメ。コミカライズ・アニメ化・ゲーム化など人気が高い作品となっています。内容としては、34歳童貞引きこもりニートの主人公がある日トラックに引かれたことで異世界に転生し、一から人生をやり直すという異世界転生モノによくある設定ですが、それの走りとなる作品です。そして、その剣と魔法の異世界で主人公ルーデウスは「今度こそ悔いのないように生きよう。」と努力・研鑽を積みます。
『無職転生』ではバトルシーンや世界観、キャラクタービジュアルなどどれをとっても作りこまれていて、深く入り込んでしまいます。さらに注目すべき点として、キャラクター自身の内面の成長に焦点を当てている点です。主人公ルーデウスは前世において学生時代のいじめにより、何事にも臆病になり、安全なところからただ相手を批判する卑屈な精神が根付いてしまっていました。しかし、異世界においても生活や環境が違えど、人間の感情や考えというものは変わりません。そこでルーデウスが関わっていくことで良い方向に導かれたその他の登場人物や数々の出来事によって、ルーデウス自身にも変化が現れ、少しずつ前世とは違った人間らしい人物になっていくのです。そして、作中で何度も起きるそのような場面は大小あれど、誰しもが経験したことがあるものに類似しています。そのおかげで見る我々がいつの間にか登場人物たちに感情移入してしまい、涙なしでは見ていられない、心をえぐる作品となっているのです。
「バトル漫画」や「異世界モノ」といったくくりきれない、まさに「人生」を表した作品です。