雪と墨(Maritaの漫画)

雪と墨(Maritaの漫画)

『雪と墨』とは、Maritaによる漫画作品。転生者とタイムトラベラーが織りなすサイエンスファンタジーである。コミックスはKADOKAWAより全3巻が刊行。前世の記憶を持つ30代男性の「トッキー」こと常磐と、その同居人でタイムトラベラーの青年「あっくん」こと浅葱の2人を中心に、不思議な世界観と時空を超えた愛を描いている。

Onoriのレビュー・評価・感想

雪と墨(Maritaの漫画)
10

3巻で完結!これまでにない設定のサイエンス・ファンタジー

KADOKAWA、ジーンピクシブシリーズから発売されているMarita先生の作品。主人公、浅葱は「タイムトラベラー」ある目的のために、常磐と暮らしている。そんな転生者とタイムトラベラーの愛のお話です。

※ネタバレを含みます※
この作品の「タイムトラベル」は自分が自由に行きたい時代に行ける、というものではなく、その時代に1年間過ごしたら次の時代に勝手に飛ばされてしまうというもの。この時代が気に入ったからしばらく滞在しようということもできない。ある程度自身で行きたい時代(平成とか100年後の未来とか)を念じれば指定はできるようですが、明確に「2000年に行く!」ということもできません。
そんな通常のタイムトラベルものにはないユニークで斬新な設定に驚きます。

さらに、もう1つ「転生者」というアイディアにも驚かされます。この作品でいう「転生者」は、いわゆる「異世界転生もの」というものではなく、「植物」が人間に転生し人生を繰り返すというもの。
実は常磐が「転生者」ですが、この世界における転生者と少し違うことも、違う理由にも驚かされるのです。

さらに、「タイムトラベル」と「転生」は永遠ではなく終わりがあることが物語の終盤で明かされ、浅葱と常磐がどのように物語を終えるのか、というのがとても美しい。

浅葱が、なぜこの時代、常磐に会いに来たのか。なぜ、常磐は転生することなったのか。
ぜひ、設定を楽しむとともに、2人の愛の物語を体感していただきたい。

異世界転生ものや、普通のタイムトラベル作品に飽きてしまった方、そうでなくても、惹き込まれてしまう作品。かつ3巻とサクッと読めるところも魅力的。ぜひ多くの方に読んでいただきたい作品です。