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下北沢を舞台にした若者の青春映画
令和版の「モテ期」を連想させる映画。
冴えない感じの主人公がひょんな事から映画に出演する事が決まり、そこで元カノ含め、古本屋の店員や映画を撮る学生達など、様々は魅力的な女子に出会うというストーリー。
監督は「愛がなんだ」の今泉力哉。少し理屈っぽくて頼りないが、優しい性格で周りから慕われている主人公を演じるのは若手俳優の若葉竜也。等身大のどこにでもいそうなヤサ男像は、同世代の男性諸君とシンクロする事間違いなし。そして好意は抱かれつつも、付き合うまでには至らず。その縮まらない距離感がまたリアルな恋愛擬似体験を彷彿させてくれる。
昔から若者に愛されてきた下北沢の街を舞台に、世代は違えど普遍的な若い男女の恋愛をテーマにした作品。
特に大きな事件が起こるわけでもなく、主人公の少しだけ非日常的な体験をつらつらとゆっくりした空気感でカメラは映し出す。
派手な作品や起承転結、意外なドンデン返しを期待する人にとっては少し物足りなく感じるかもしれないが、邦画ならではの空気感が好きな人なら観て損はしないだろう。少し間違えると薄寒くなるような、後半の台詞だけで繋ぐ長回しのカットなどはなかなか見応えがあった。
監督はアキ・カウリスマキが好きなようで、そんな作品を撮りたかったようだけど、北欧映画にはない又独特な空気感や世界観は演出できたのではないだろうか。