藤井風、ただひとりの人
藤井風を知ったのは『死ぬのがいいわ』が世界的にヒットしているとニュースサイトで読んだ後だった。
ほかにどんな作品があるのか興味を持ち、聴いてみると、彼の音楽は自分の中でストンと腑に落ちる感じがした。
メロディも歌詞も強引に押し付けがましくなく、聴き流していてもじっくり聴いても心地よいと感じられた。
藤井風は喫茶店を営む父のもとで、昭和の歌謡曲からクラシック、洋楽までさまざまな音楽に触れながら育ったという。
その膨大なメロディの中から彼が心地よいと感じるメロディを産み出し、歌詞を乗せて歌っているように感じられる。
また、彼にはある種の信仰があると伝えられている。
そのため、彼の歌詞には神様や自己との関係、信仰についてのテーマが含まれているのかもしれない。
恋愛も青春時代の生き様も、すべて神様と自己との関係や信仰に置き換えることもできるだろう。
しかし、それを知ったからといって彼の音楽を嫌いになることはない。
彼の作る音楽は賛美歌のように心地よいときもあれば、古い歌謡曲を思い出させるメロディだと感じることもある。
彼の音楽を通じて、時には執着を捨て、自由に生きようというエールを感じることもある。
音楽を作ることも、それを聴くことも自由であり、私は藤井風の作る音楽が好きだと思う。